企業は、競合他社を業界内の狭い範囲で捉えて、本当のライバルを明確に理解していな場合が数多くあります。どんな企業にも競合他社は存在して、「たとえ航空会社が1社しかなかったとしても、その会社は鉄道やバス、自動車、自転車、さらには目的地まで歩くほうがいいという人間の存在を気にかけずに入られないだろう」(コトラーのマーケティング・コンセプト』東洋経済新報社)。 優れた競合他社は単なる競争相手というだけではなく、高い基準を目標にしスキルを磨くための師でもあります。優れた競合他社の動向は常にベンチマーキングを行いながら、自社の戦略をコントロールしていくことが重要です。逆に最も危険な競合他社は、自社と最もよく似た企業です。顧客には両者の違いがわかりません。自社の競走優位性はすべて、その類似性によって無効にされてしまいます。競合他社に対しては、適度な類似性の確保(他社の競走優位性を無効にするため)と明確な差別化(自社のポジショニングを明確にするため)の2つの戦略が必要となります。 |